施策の立案 — 製造業DXの具体的な手段の決定

前回の記事まで、製造業DXを推進するにあたっての「あるべき姿」を描き、「実現したい姿」を決め、「現状把握」を行ってきました。そのため、現場の課題を的確に捉えて、現状の業務プロセス、データ構造が明確になっているはずです。

そこで、今回はいよいよ施策の立案を行っていきます。製造業DXを実行可能な改善策へと落とし込むためには、体系的なアプローチが必要です。

現場の声を反映しながら、業務フローの見直し、アーキテクチャ設計、セキュリティ対策までを一貫して進める「施策立案の7ステップ」をご紹介します。

目次

業務フローの洗い出し: 現状を可視化する

まずは、業務に関わる人・システム・手順を整理し、フローチャートで現状の業務の流れを可視化します。

改善対象である業務の全体像を把握することで、新たな課題の発見につながります。

課題の特定と共有: 共通認識をつくる

作成した業務フローに課題を注記することで、関係者間の共通理解が生まれます。

属人化、業務プロセスの遅延、アナログ運用など、現場で感じている「違和感」を言語化することで、改善の方向性が明確になります。

解決アプローチの選定: 課題に応じた手段を選ぶ

課題の種類に応じて、業務手順の見直し、システム導入、データ連携など、最適なアプローチを選定します。技術的な解決だけでなく、運用面の工夫も重要です。

施策後の業務フロー作成: 実現したい姿を可視化する

改善後の業務フローを作成し、関係者で共通認識を持ちます。

関係者の役割を明確にすることで、導入後の混乱を防ぎ、スムーズな運用につながります。

効果の試算: 定量的に評価する

施策の前後で処理時間や作業工数を比較し、プロセス数が減っているかを確認します。

これにより、施策の妥当性を客観的に評価できます。また、システム処理のデータ連携によるプロセス増加は、速度と正確性が向上していることになります。

アーキテクチャの設計: システム連携を図解する

既存システムと新規導入システムの連携を図解し、各システムの役割とデータの流れを明確にします。

また、将来的な拡張性・保守性の観点から、問題発生時の原因特定が早くなります。どのシステム・どの連携部分に問題があるかを即座に特定することができます。

セキュリティ対策: リスクとコストのバランスを取る

セキュリティ対策は「どのような形でシステムを運用するか」によって、確認すべき項目や責任の所在が大きく変わります。

自社開発のアプリケーション側でのセキュリティ対策を検討する場合、対策にかかるコストと被害のリスクはトレードオフとなります。

外部サービスを利用する場合は、契約前にセキュリティ要件を確認し、自社のセキュリティ基準を満たしているかを確認します。

まとめ

施策立案は、現場の課題を丁寧に拾い上げ、それを技術と運用で解決するプロセスです。

業務改善は一度きりではなく、継続的な取り組みが求められます。だからこそ、施策の立案には「関係者間の共通認識」が、現場に寄り添った改善では欠かせません。


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